2011年9月1日

防災の日特集1 「南房総の地震隆起段丘」1

今日9月1日の「防災の日」は、大正12(1923)年のこの日に起きた関東大震災の教訓を忘れないという意味も含めて昭和35(1960)年に制定されました。今年は、3月11日の東日本大震災の発災により、今まで以上にその重みを実感することができます。


88年前の9月1日を境に、鏡が浦(館山湾)に浮かんでいた高の島周辺の景色は一変しました。


関東大震災以前、
高の島(右)と沖ノ島(左)は沖に浮かぶ島でした
(明治末から大正前半)


沼の柏崎から大賀にかけての海岸と高の島・沖の島の間にあった浅瀬が大地震により隆起し、干潮の時には歩いて高の島まで渡れるようになったのです。


関東大震災による隆起で高の島にできた干潟。
手前に並ぶのは海苔ひび(大正末から昭和初期)

過去100年に限らず、ひょっとすると日本の歴史上、最も土地が隆起した場所が館山なのではないかと推測させるのが、千葉県天然記念物に指定された「南房総の地震段丘」です。


千葉県天然記念物「南房総の地震隆起段丘」
館山市浜田・船越鉈切神社境内

館山市の宮城から洲崎、平砂浦、南房総市白浜町の野島崎をとおって同市千倉町白子に到る海岸沿いには、過去の巨大地震によって海岸が隆起した様子を示す階段状の段丘が残されています。

4面からなるこの段丘は、地質学の研究のなかで「沼面群」と呼ばれ、高い位置から沼Ⅰ面、Ⅱ面、Ⅲ面、Ⅳ面と呼ばれています。(2につづく)