2012年4月18日

シリーズ社会科見学19 鉄道博物館(その1)

平成18年6月、多くの男の子達に惜しまれつつ閉館した東京・神田の交通博物館。

東京近郊に住む男子幼児の多くが、はじめて訪れた「博物館」。それが、交通博物館だったのかもしれません。(今から40数年前、東京の幼稚園児であったも私や友人たちがそうでした。)

それから1年4カ月のブランクをおいて、平成19年10月14日から、埼玉県さいたま市の鉄道博物館が、男の子達の夢の空間を引き継ぎました。

鉄道博物館を社会科見学した3月下旬も、多くの親子連れが博物館を訪れ、男の子達は、食い入るように実物の鉄道車両を眺め、触れられるものには実際に触れて、夢を実感していました。

開館から5年目の今年4月2日に、鉄道博物館の入館者は早くも500万人を達成しています。


ヒストリーゾーンの展示風景

実物車両の周辺を演出する展示では、列車の走った当時の情景が再現され、幼児だけではなく、40代後半の私が、懐かしさや時代を感じることにより、魅力を感じることができる工夫がされていました。

そのなかに、館山に関係する展示がありましたので、2回にわけて紹介します。

1回目は、101系電車の車内広告です。


中央線・総武緩行線などを走っていた通勤型の101系電車

101系電車は、首都圏でもっとも混雑が激しかった中央線への投入を目的に昭和32(1957)年に登場し、中央線では昭和60年まで使用されていました。

鉄道博物館では、昭和32年の試作編成の先頭車として製作されたクモハ101-902が展示されています。

101系が走っていた頃、中央線沿線に住んでいましたので、思わず懐かしくなり、車内に乗り込みキョロキョロすると、そこにあったのは、昭和47(1972)年夏のまど上ポスターでした。


クモハ101-902車内のまど上ポスター

昭和47年7月15日、東京駅の地下に東京地下駅が開業。
総武本線が東京駅に乗り入れるようになり、房総の各線と東京駅が直結しました。


◆ 関連記事
・ JR113系車両の引退と昭和44(1969)年 鉄道の電化完成によりかなった館山市民の夢 (2011.9.18)


東京地下駅 赤レンガの丸の内地下5階に完成
千葉・房総へ、特急・快速がここから出発


昭和40~60年代にかけて、関東で海水浴といえば房総でした。

東京湾アクララインや館山道がなかった当時、房総への交通機関といえば電車でした。

房総各線では、おおよそ7月20日から8月末まで「夏ダイヤ」が実施されていました。

特急列車が“高価”だった当時、急行だけではなく、臨時の快速列車が多数運転されていたのも房総各線の特徴でした。


快速 夏の房総へ 東京地下駅から毎日往復40本
青い海号/白い砂号


夏休みに運転されていた快速、内房線の「青い海」と外房線の「白い砂」は、ヘッドマークも誇らしげに、房総へ海水浴客を運んでいましたが、平成10(1998)年に運転が廃止されました。

昭和40年代後半、毎年、中央線沿線から岩井(現在の南房総市)へ海水浴に来ていた私は、席を確保するため、発車の1時間前から、東京地下駅で並んでいました。

それでも、座れなかったことがありました。

それほど、房総への海水浴客は多かったのです。


113系近郊型電車の快速「青い海」

昭和57年11月まで、急行も走っていました。


急行 夏の房総へ
新宿・両国駅から房総を1周。全車自由席


急行「なぎさ」は新宿/両国から木更津-館山-安房鴨川-勝浦-新宿/両国と房総を一周し(館山-勝浦間は普通列車) 、


165系急行型電車の急行「なぎさ」


 急行「みさき」は、「なぎさ」と反対周りで、新宿/両国-勝浦-安房鴨川-館山-木更津
-新宿/両国(勝浦-館山間は普通列車)と周る列車でした。


165系急行型電車の急行「みさき」
 
昭和50(1975)年3月10日のダイヤ改正で、急行「なぎさ」「みさき」の内房線・外房線の循環運転は取りやめとなり、内房線は急行「内房」、外房線は急行「外房」へと、それぞれの線区内を走る急行列車になり、それは、昭和57年11月ダイヤ改正まで続きました。

昭和47年7月15日、東京地下駅の開業により運行が始まったのが、特急「さざなみ」です。


特急 夏の房総へ
東京地下駅発。自由席もたくさんです。

「さざなみ」に使われていた183系特急型電車は、東京地下駅の開業に合わせて開発され、平成17年まで、定期運行の特急「さざなみ」に使用されていました。


ちなみに、「さざなみ」の運行は、平成3年3月16日に「成田エクスプレス」の運転が開始されたことにより、東京駅 -蘇我駅間が京葉線経由に変更されました。

鉄道博物館の屋外で、引退した183系1000番代の「さざなみ」が、ランチトレインとして展示され、駅弁や持参した弁当などを食べるスペースとなっています。


左:183系1000番代の「さざなみ」 右:189系の「あさま」


183系特急型電車は、現在も現役で、今年2月18日(土)には、館山駅の留置線に183系3編成が並んでいる様子がレポートされています。


鉄道ファン「鉄道ニュース」/内房線館山駅で183系が3本並ぶ(2012-2-18)