2012年6月13日

館山市有形民俗文化財「寺赤組山車」の古写真

例年7月17・18日に行なわれる,館山市那古寺の祭礼に出祭する寺赤組の山車。


館山市有形民俗文化財「寺赤組山車」


地元の大工棟梁によって,明治32(1899)年につくられたものと考えられています。

彫刻は初代後藤義光の山車彫刻の遣作と考えられ,「元北朝夷 後藤利兵衛 橘義光作 八十五翁」などの銘があります。


「元北朝夷 後藤利兵衛 橘義光作 八十五翁」の銘


建武中興の故事にそった後醍醐天皇と,忠臣たちの名場面をテーマにした35名以上の人物像は,その持ち物や表情が,はっきりと彫刻されています。





彫刻,大幕,そして人形など,『太平記』をテーマに,山車全体の構成が統一されています。

また,人形を上げ下げする装置には,滑車が多く使われ,操り綱を使った古来の手法が残されています。

この、館山市有形民俗文化財「寺赤組山車」の古写真を、寺赤町内役員の中田さんから、お借りしましたので、ご紹介します。




撮影は、山車が完成した明治32(1899)年あるいはその翌年ではないかということです。

現在は、山車の正面にある太鼓が、左側面に据えられていることがわかります。

山車の左後方に写っているのは、那古寺の仁王門です。

この仁王門は、大正12(1923)年の関東大震災で倒壊しました。

現在の仁王門は、38年後の昭和36(1961)年に再建されたものです。

写っている人びとの服装を含めて、1枚の古写真が、様々な情報を私たちに教えてくれます。

日ごろ、私たちが何気なく撮っているデジタル画像が、22世紀の子孫たちに、色々な情報を教えることになるかもしれません。

あと、ひと月余りで、館山市民待望の“祭りの季節”が到来します!