2013年8月6日

平成25年度第3回安房学講座が開催されました!


8月3日、平成25年度第3回安房学講座が開催されました!

安房学講座は、館山市文化財保護協会と館山市立博物館で組織された安房学講座実行委員会が開催する講座です。

今回のテーマは「千五百羅漢と桜井石工大野甚五郎」
講師は木更津市岩根公民館副館長、稲木章宏氏です。


考古学が専門の稲木先生


■千五百羅漢(せんごひゃくらかん)とは?
羅漢とは、阿羅漢ともいい、尊敬されるべき修行者、仏教における聖者のことです。
鋸南町の鋸山(のこぎりやま)にある日本寺というお寺の中腹にまつられている1500体もの羅漢が今回のタイトルとなった羅漢像です。
通常は十六羅漢や五百羅漢であることを考えると、1500というのは圧巻の数です。(ただし、正確な数はわかっていないそうで、1153体、1353体、1253体、1053体といろいろな説があります)

ひとつとして同じ顔はないそうです。誰かに似てる?

■桜井石工大野甚五郎について
桜井は、現在の木更津市にあった、桜井村という地名からきています。石工(いしく)は石の彫刻などを作る職人のことです。
つまり、桜井村の石彫刻職人の大野甚五郎さんが作ったのが、日本寺の千五百羅漢なのです。
といっても一人で作ったのではなく、門弟27人とのチームでの製作です。甚五郎は当時まだ30歳くらいだったとか。
ちなみに、大野というのは大野派という石工集団の一派で、かなりの人数がいますが、作風はそれぞれ通じるところがあるようです。

鋸山からとれる房州石。はけでつけたような模様が特徴

■石工とは?
石工には山石工(石材を切り出す)と、町石工(石材を仕入れ加工)、旅の石工(石材を加工しては移動する)がいて、本来は旅の石工である特殊技能を持つ渡り職人でしたが、そのうち町や村に定住するものがあらわれたと言われています。
大阪和泉地方の石工が江戸城の石垣を製作するために集められ定着したものなどが有名です。
「石工は 磨きに3年 道具作りに3年 彫りに3年 一人前」という言葉があるほど、約10年かけて修行して、ようやく駆け出しになれるような職人技の世界なのです。

■石工銘を探す
調査は西上総が中心で、安房のほうはまだあまり進んでいないそうです。
館山では武田石翁が有名ですが、まだ隠れた名工がいるかもしれません。
ぜひ、みなさんの手で調査をしてみてください。
まずは気になる石像の石工銘をチェックです!

主に、神社仏閣に添えられるもの狛犬、石灯籠、鳥居、手水石、玉垣、石祠、石段門柱、宝篋印塔、霊場標石、供養等などに見られます。
「石工」「石屋」「石匠」「石匠工」などの後に名前があります。特に匠とついている人は技術が高いことが認められている人です。
それぞれの石工の活動時期や活動域がわかると、研究の新たな足がかりになるかもしれません。
現在館山市立博物館本館で開催中の平成25年度収蔵資料展「身近な神さま仏さま」にも、安房の石工、武田石翁と俵光石の石像2点の出品があります。よろしければぜひごらんください!




俵光石作「石造延命地蔵菩薩像」
武田石翁作「獅子印石」



期  間  7月6日(土)~9月1日(日)
休館日  毎週月曜日・ただし7月15日(月)は開館、16日(火)を休館。
会  場  市立博物館本館(館山市館山351-2 城山公園内) 
観覧料  常設展観覧料(一般300円、小中高生150円)に含みます。
問合せ  市立博物館本館(TEL 0470-23-5212FAX 0470-23-5213